2025年8月2日放送の『ブラタモリ』は、78分の拡大スペシャルで「富士山」がテーマです。
タモリさんが富士山の美しさの秘密を求め、須走口五合目から壮大な旅に出かけました。
現在の富士山の下に眠る「幻の富士山」の痕跡や、江戸時代の大噴火で埋もれた町の記憶、そして最新の防災研究の最前線まで、富士山の知られざる姿が紹介されました。
幻の富士山・古富士の痕跡をたどる
今回の旅は、富士山の登山道の中でも特に自然豊かな須走口五合目、標高およそ2000メートルの地点から始まります。
タモリさん一行はここから、富士山の「美しさの秘密」を解き明かすため、普段は一般の人が立ち入れない陸上自衛隊東富士演習場の森深くへと足を踏み入れました。
そこで発見されたのが、現在の富士山の土台となった「古富士」と呼ばれる“幻の富士山”の痕跡です。
現在の富士山の下に眠る“もうひとつの富士山”
古富士とは、今私たちが知る美しい円錐形の富士山が形成されるよりも前の時代に活動していた火山です。
現在の富士山とは形や噴火の特性が異なり、その噴火によって噴出した溶岩や火山灰が長い年月をかけて積み重なり、今の富士山の基盤を築き上げました。
番組で訪れた演習場内では、木々の間に露出した地層から、古富士が実在した証拠となる火山灰や噴出物の堆積層をはっきりと確認することができます。
研究者たちも注目する発見の意義
通常、古富士の痕跡は現在の富士山の山体に覆われているため、直接目にすることは非常に困難です。
そのため、今回のように地層が露出し、その存在を視覚的に確認できるのは地質学的に極めて貴重です。
これらの痕跡は、現在の富士山が誕生する以前の火山活動の様子を探るための重要な手がかりであり、研究者たちから大きな注目を集めています。
場所によっては、当時の溶岩流の跡なども保存されており、富士山の地形や地質の変遷をたどる上で欠かせない情報源となっています。
なぜ“幻の富士山”と呼ばれるのか
古富士の火山体は、その後の新しい富士山の火山活動によってほとんどが地下深くに埋もれてしまいました。
専門家でなければその存在を知ることさえ難しく、長い間「幻の山」と呼ばれてきたのです。
しかし、東富士演習場のように開発の手が加わっていない場所では、太古の自然地形が保たれており、火山の歴史を物語る地層が奇跡的に残っています。
今回タモリさんたちが目の当たりにしたのは、まさに“幻”が“目に見える証拠”として現代に蘇った瞬間でした。
江戸時代の大噴火が埋めた町の記憶
次にタモリさんたちが訪れたのは、静岡県小山町に位置する須走の集落です。
この地域は、江戸時代中期の1707年に発生した宝永噴火によって甚大な被害を受けた場所として知られています。
番組では、今なお残る地層や古文書の記録を丹念に読み解きながら、噴火によって町の姿や人々の生活がどのように一変したのかを探っていきます。
宝永噴火による火山灰が町を埋めた
宝永4年(1707年)12月に始まったこの大噴火では、富士山の東南斜面から莫大な量の火山灰や軽石が噴出しました。
記録によると、須走地域には3メートル以上もの厚さで火山灰が降り積もり、家屋、神社、畑といった人々の生活の場すべてを一瞬にして覆い尽くしました。
これにより、町は一時的に地図からその姿を消すことになったのです。
火山災害がもたらした生活への影響
噴火の影響は、降灰だけにとどまりませんでした。
火山灰が川に流入したことで川底が上昇し、各地で河川の氾濫や泥流が発生しました。
これにより農地は壊滅的な被害を受け、深刻な食糧不足と物資の欠乏を引き起こしました。
周辺の村々では飢饉が広がり、多くの住民が住み慣れた土地を離れて移住を余儀なくされたと伝えられています。
この噴火は、地域の歴史に深く、そして大きな爪痕を残しました。
神社や建物の痕跡を掘り起こす発掘作業
須走の町では、現在も地質学者や考古学者の手によって地道な発掘調査が続けられています。
番組では、厚い火山灰の層の下から、埋没した神社の柱や当時の建物跡とみられる遺構が姿を現す様子が映し出されました。
「消えた町」が少しずつ現実の姿を取り戻していく光景は、自然災害の脅威を改めて視聴者に伝えます。
発掘された遺構は、当時の町の構造を知るための貴重な資料として大切に保存されています。
富士山と人々の暮らしのつながり
こうした発掘調査や古文書の記録から見えてくるのは、自然の恵みと脅威の中で生きてきた人々の姿です。
富士山の豊かな自然の恩恵を受けて発展した町が、同じ山の噴火によって一瞬にしてその姿を変えてしまうという事実は、現代に生きる私たちにとっても重要な教訓となります。
番組では、歴史の記録を丁寧にたどることで、私たちが自然とどう向き合っていくべきかを深く問いかけていました。
富士山研究の今を知る
今回の特集では、富士山の地質学的な歴史や魅力に加え、現在進行形で進められている最先端の研究と防災対策についても詳しく紹介されました。
美しい姿の裏に秘められた噴火というリスクと向き合い、被害を最小限に抑えるための専門家たちのたゆまぬ努力が日々続けられています。
火山防災とハザードマップの更新
近年の研究成果を反映し、火山ハザードマップはより精密なものへと更新されています。
特に2021年の改定は大きな注目を集めました。
江戸時代以前の噴火記録や最新の地層調査に基づき、火山灰が到達する範囲や溶岩流・泥流の進路予測が見直された結果、避難対象とされる地域は従来の約7倍にまで拡大しました。
これにより、首都圏を含む広範なエリアが噴火リスクと無関係ではないことが明確になり、より実効性のある避難計画の強化が進められています。
人工衛星と地中レーダーによる火山監視
噴火の予兆をいち早く捉えるため、最新の観測技術が導入されています。
番組では、宇宙から地表の微小な変動を測定する人工衛星や、地中深くに電波を飛ばしてマグマの動きを検知する地中レーダーといった技術が紹介されました。
これらの技術は、通常では見ることのできない火山の内部構造を「可視化」し、噴火の兆候を早期に把握するための重要な鍵となっています。
地震・噴火データの統合とシミュレーション
大学や研究機関では、過去の噴火データや地層、歴史記録をデジタル化し、コンピューター上で災害のシミュレーションを行う研究が進められています。
これにより、噴火が発生した場合に被害がどのように広がるか、その規模はどれくらいになるかを科学的に予測することが可能です。
こうしたシミュレーション結果は、国や自治体の防災計画策定はもちろん、学校での防災教育や地域住民の避難訓練にも活用されています。
研究の未来と地域社会との連携
富士山の防災研究は、単なる学術研究にとどまりません。
その最前線では、研究者だけでなく、地域住民、行政、観光業者といった多様な立場の人々との連携が非常に重要視されています。
専門家と地域社会が対話を重ねることで、「富士山と共に生きる未来」をどう築いていくか、その模索が続けられている点も、今回の放送で印象的に描かれました。
災害に備える「火山防災リュック」の実用性と購入先
富士山の噴火リスクに備えるためには、公的な防災対策だけでなく、私たち一人ひとりの日頃からの準備が不可欠です。
特に火山灰は広範囲に影響を及ぼす可能性があり、自宅での待機を含めた長期的な備えが求められます。
そんな時に頼りになるのが、火山災害に特化したアイテムを備えた「火山防災リュック」です。
火山灰に備える基本アイテムのリスト
火山灰の粒子は非常に細かく、ガラス質であるため、吸い込むと呼吸器に、目に入ると角膜に深刻なダメージを与える可能性があります。
また、電子機器の故障の原因にもなるため、防塵性能の高い装備が欠かせません。
アイテム | 用途 |
N95マスク | 火山灰や細かな粉じんの吸引を効果的に防止します。 |
保護メガネ | ゴーグル型が望ましく、目の粘膜を火山灰からしっかりと守ります。 |
ポンチョ(防水タイプ) | 衣服や肌に火山灰が付着するのを防ぎます。 |
飲料水パック | 降灰による水源汚染に備え、安全な飲料水を確保します。 |
非常食セット | 調理不要で長期間保存可能なものを用意します。 |
携帯浄水器 | 万が一、水が汚染された場合でも安全に飲用可能にします。 |
簡易トイレ | 断水時の衛生環境を保つために必須のアイテムです。 |
注目の通販セット紹介と選び方
現在では、Amazonなどの大手通販サイトで、これらの防災アイテムがあらかじめセットになった「火山対応リュック」を手軽に購入できます。
例えば、「30点防災セット」のように基本的なアイテムが網羅されたものや、携帯浄水器が付属した高機能なもの、コンパクトながら非常食3日分がしっかり入ったものなど、様々な種類があります。
必要なものが最初から揃っているため、防災準備の初心者でも安心して備えることができます。
火山噴火時の具体的な使用場面を想定
仮に富士山で大きな噴火が発生し、あなたの住む地域に火山灰が降り積もったとします。
外出は危険なため自宅で待機することになりますが、停電や断水が発生し、空気中には常に灰が舞っている状況も考えられます。
そんな時、すぐに手の届く場所に防災リュックがあれば、N95マスクと保護メガネで身体を守り、備蓄した水と食料で当座をしのぐことができます。
この「備え」があるだけで、パニックにならず冷静に行動するための大きな助けとなります。
まとめ
『ブラタモリ 富士山SP』で紹介された、富士山の知られざる歴史と防災の最前線についてまとめました。
現在の美しい富士山の地下に眠る「古富士」の存在、そして江戸時代の宝永噴火によって一瞬にして姿を消した町の記憶は、富士山が悠久の時を経て今の姿になったこと、そして自然の恵みと脅威が常に隣り合わせであることを教えてくれます。
また、最新の科学技術を駆使した火山研究や、それに基づくハザードマップの更新、そして地域社会と連携した防災への取り組みは、私たちがこの山とどう向き合い、共存していくべきかを考えるきっかけを与えてくれました。
番組で紹介された歴史や科学に思いを馳せるとともに、いざという時のために「火山防災リュック」のような具体的な備えをしておくことが、富士山の麓で暮らす私たち、そしてその影響を受けうるすべての人々にとって大切です。
最後まで読んで頂きありがとうございました。