2025年7月26日放送の『ブラタモリ』で、北海道・函館の魅力の真相について紹介されました。
市区町村魅力度ランキングで全国1位に輝く函館。
その独特の景観と文化はどのようにして生まれたのでしょうか。
今回の放送では、金森赤レンガ倉庫や教会が並ぶ坂道、そして街の発展を支えた巨大なインフラをタモリさんが歩き、函館の「ハイカラな魅力」が生まれた理由を歴史からひもときます。
港町から始まるハイカラ探しの旅
函館のハイカラな魅力を探る旅は、その原点ともいえる港エリアから始まります。
ここには、函館の歴史を象徴する「金森赤レンガ倉庫」が佇んでいます。
この倉庫群は、函館が国際貿易港として栄えた明治時代に、貿易や物流の中心として築かれました。
特に1909年(明治42年)の大火の後、耐火性の高い赤レンガで再建された建物は、函館の発展の歴史そのものです。
現在は商業施設やレストランとして活用され、多くの観光客で賑わいを見せています。
夜になると建物全体がライトアップされ、その光が水面に映り込む幻想的な光景は、函館を代表する写真映えスポットとして有名です。
この港から街をたどることで、函館が異国文化を取り入れ、ハイカラな街並みを築いていった物語の始まりが見えてきます。
坂道と教会、異国情緒を感じる街並み
港から函館山のふもとに広がる元町エリアへ足を運ぶと、そこには異国情緒あふれる美しい風景が広がっています。
このエリアの最大の特徴は、石畳の坂道と洋風建築の教会が織りなす、調和のとれた景観です。
代表的な「八幡坂」の頂上から港を見下ろす景色は、まっすぐに伸びる道と海のコントラストがまるで映画のワンシーンのようだと評されます。
坂の周辺には、特徴の異なる3つの主要な教会が隣接しています。
- カトリック元町教会:1923年に再建されたゴシック様式の荘厳な教会。内部にはローマ法王から贈られた祭壇があります。
- 函館ハリストス正教会:日本で初めて建てられたロシア正教会で、1916年に再建。白い壁と緑のドーム型屋根が特徴的で、国の重要文化財にも指定されています。
- 函館聖ヨハネ教会:1874年に設立。上空から見ると十字架の形をしている屋根がシンボルです。
異なる宗派の教会が美しい坂道に並ぶこの風景は、函館が開港によっていち早く西洋文化を受け入れた歴史と、後述する都市計画の成果が重なり合って生まれた、世界的に見ても珍しいものです。
火災が生んだ広い道とレンガ建築
今日見られる函館の美しい街並みは、実は度重なる災害の歴史の中から生まれました。
その背景には、大火を乗り越えるための先人たちの知恵と工夫があります。
明治時代の函館は、1878年、1879年、そして1907年と、街の大部分を焼き尽くす大規模な火災に何度も見舞われました。
これらの苦い経験を教訓に、火の延焼を防ぐための本格的な都市設計が進められます。
その代表例が、防火帯として整備された幅約36メートルもの「二十間坂」などの広い坂道です。
また、従来の木造建築に代わり、煉瓦造や石造といった耐火性の高い建物が積極的に採用されるようになりました。
1907年の大火後に建てられた「東本願寺函館別院」は、日本で初めて鉄筋コンクリートで造られた寺院として知られています。
このように、災害からの復興過程で生まれた広い道と耐火建築が、現在の“ハイカラな街並み”の礎を築いたのです。
地下に眠る“神殿”のような構造物
函館の魅力は、中心部の華やかな街並みだけではありません。
街の発展を陰で支えてきた、荘厳なインフラ遺産も存在します。
函館市赤川町にある「笹流(ささながれ)ダム」は、まるで“地下神殿”と称される神秘的な空間を持つダムです。
1923年(大正12年)に完成したこのダムは、日本で初めての「バットレスダム」として建設されました。
バットレスダムとは、遮水壁を格子状の支柱(バットレス)で支える構造で、コンクリートの使用量を抑えながらも高い強度を誇ります。
その内部に足を踏み入れると、太いコンクリートの柱が整然と立ち並び、天井から差し込む光と水面の反射が相まって、まるで神殿のような幻想的な光景を作り出しています。
このダムは、増え続ける函館市民の生活用水を確保するために建設され、100年以上経った今もなお現役で活躍する、技術と芸術が融合した「見せるインフラ」なのです。
まとめ
函館の「魅力度No.1」の理由についてまとめました!
今回の放送で紹介されたように、函館のハイカラな魅力は、単に美しいだけでなく、開港から続く国際貿易の歴史、度重なる大火を乗り越えた防火の知恵、そして街の発展を支えた技術の結晶であることがわかります。
港の赤レンガ倉庫から始まり、坂と教会が織りなす異国情緒、そして地下に眠る壮大なダムまで、それぞれの場所に積み重ねられた物語があります。
函館の街を歩くことは、まさにその深い歴史を体感する旅といえるでしょう。
最後まで読んで頂きありがとうございました。