2025年7月31日放送の「林修の今知りたいでしょ」で、熱中症から身を守る知識を試す「熱中症検定予防編」が紹介されました。
教えてくれたのは、熱中症診療ガイドライン2024の作成チームリーダーも務める神田潤先生です。
この記事では、番組で紹介された熱中症予防に関する重要な知識を詳しく解説します。
熱中症検定予防編
猛暑を乗り切るために、クイズ形式で熱中症予防の知識を学びましょう。
意外と知られていない新常識も紹介します。
コーヒーは水分補給になる?
結論として、コーヒーも水分補給になります。
コーヒーには利尿作用があるため水分補給には向かないと思われがちですが、その効果は水とほぼ同じで、水分補給として一定の効果が期待できます。
したがって、暑い日にコーヒーをあえて避ける必要はありません。
水分補給するタイミングとして適切なのは?
最も適切なタイミングは「B:喉が渇く前に飲む」ことです。
喉の渇きを感じた時点では、すでに体は水分不足の状態にあります。
暑さによるダメージが体に蓄積する前に、こまめに水分を摂ることが重要です。
ただし、しっかり休憩できる状況であれば、喉が渇いてから水分を補給しても問題ありません。
特に、喉の渇きを感じにくかったり、うまく伝えられなかったりする子どもや高齢者には、周囲の人が意識して水分補給を促すことが大切です。
飲みだめはOK?
結論から言うと、飲みだめは問題ありません。
一般的に、体が一度に吸収できる水分量は200㎖程度とされますが、今年の夏のような猛暑ではそれでは足りず、慢性的な水分不足に陥る可能性があります。
そのため、飲めるときに少し多めに飲んでおくことが推奨されます。
汗は何で拭くのが最も体温低下が期待できる?
最も体温低下が期待できるのは「C:ボディーシート」です。
体温を下げる効果が期待できる順は、ボディーシート > 濡らしたタオル > 乾いたタオルとなります。
汗は、蒸発する際に皮膚から熱を奪う「気化熱」によって体温を下げる働きをします。
乾いたタオルで汗を拭き取ってしまうと、この気化熱による冷却効果が得られず、せっかくの汗が無駄になってしまいます。
一方、ボディーシートに含まれるエタノールは、汗を溶かして肌に触れる面積を広げ、効率よく水分を蒸発させるため、高い体温低下効果が期待できます。
拭く際は、顔や首だけでなく、お腹や背中、足など全身を拭くとより効果的です。
汗をかいたら着替えはこまめにしたほうがいい?
はい、こまめに着替えることをおすすめします。
濡れた服は通気性が悪くなり、汗が蒸発するのを妨げてしまいます。
汗の蒸発による体温調節機能を維持するためにも、汗をかいたら通気性や速乾性に優れた素材の服に着替えるのが良いでしょう。
首掛けファンは効果的?
首掛けファンは熱中症予防に効果的です。
首掛けファンは体の周りの空気を対流させ、汗の蒸発を促進します。
これにより、気化熱による体温低下が効率的に行われます。
同様の理由で、ファン付きのウェアである空調服も非常に効果的です。
熱中症予防が期待できるお風呂の入り方は?
夏場は「B:ぬるま湯に浸かる」のが正解です。
7月や8月といった暑い時期に熱いお湯に長時間浸かると、脱水症状を引き起こし、かえって熱中症のリスクを高めることがあります。
この時期の入浴は、38℃程度のぬるま湯に10分〜15分浸かるのが目安です。
入浴前後の水分補給も忘れないようにしましょう。
サウナを利用する場合も同様に、体を冷やす時間や水分補給をしっかりと行い、無理なく楽しむことが大切です。
ちなみに、本格的に暑くなる前の4月や5月に熱いお風呂に入る習慣をつけると、発汗機能が高まり、夏の熱中症予防に繋がります。
熱中症予防のために冷やすと効率的に体温を下げられる場所は?
最も効率的に体温を下げられる場所は「B:手のひら」です。
手のひらには、動脈と静脈を直接つなぐ「動静脈吻合(AVA)」という特殊な血管があります。
この血管は体温調節の役割を担っており、暑さを感じると拡張して多くの血液を流し、体の熱を逃がそうとします。
そのため、手のひらを冷やすことで、冷えた血液が効率よく全身に巡り、深部体温を効果的に下げることができます。
この方法は、首や脇の下といった太い血管がある場所を冷やすよりも効率が良いとされています。
実際に集中治療室での体温管理にも応用されている方法です。
外出時には冷たいペットボトルを握ったり、自宅では保冷剤を握ったり、手足を水につけたりすることが熱中症予防に繋がります。
足のうらも手のひらと同様に効果的な場所です。
まとめ
熱中症予防についてまとめました。
コーヒーでの水分補給が問題ないことや、体温を下げるためには手のひらを冷やすのが最も効率的であるなど、意外な新常識が多くありました。
講師の神田潤先生は「この暑さを災害だと思って対応してほしい」と話していました。
今回身につけた知識で、熱中症にならないよう暑い夏から身を守ってくださいね。