2025年7月31日放送の「林修の今知りたいでしょ」で、しっかり熱中症対策をしていても起こりうる「慢性的熱中症」の原因や症状について特集されました。
教えてくれたのは、熱中症診療ガイドライン2024の作成チームリーダーも務める神田潤先生です。
慢性的熱中症とは?
慢性的熱中症とは、軽い熱中症の症状が長期間にわたって続く状態を指します。
主な症状には、だるさ、頭痛、めまい、軽い吐き気などがあり、夏バテや更年期障害の症状と似ています。
そのため、自分では気づきにくく、いつの間にか発症しているケースも少なくありません。
この状態は、熱中症が重症化する一歩手前の段階であり、放置すると些細なきっかけで意識を失う危険性もはらんでいます。
慢性的熱中症の原因は?
慢性的熱中症の主な原因は、自分では気づきにくい「小さな脱水」と「夏の暑さによるダメージ」が日々積み重なることです。
猛暑が続くと、知らず知らずのうちに体から水分が失われ、慢性的な脱水状態に陥りやすくなります。
この状態が続くことで、体にダメージが蓄積し、慢性的熱中症を引き起こします。
慢性的熱中症の症状は?
慢性的熱中症の主な症状を3つ紹介します。
①倦怠感
体内の水分が不足すると、筋肉への血流が低下します。
血流が悪くなることで、筋肉に十分な酸素や栄養が届きにくくなり、結果として疲れやすさや強いだるさを感じるようになります。
②吐き気
水分不足は、消化機能の低下も引き起こします。
胃腸の働きが弱まることで、食欲不振や軽い吐き気といった症状が現れます。
③激しい頭痛
脱水がさらに進行すると、脳への血流も低下します。
脳の血流不足は、激しい頭痛を引き起こす原因となります。
慢性的熱中症になる生活習慣は?
専門家によると、猛暑の8月は日本国民全員が慢性的な脱水状態に陥る可能性があるといっても過言ではありません。
以下のような生活習慣に心当たりがないかチェックしてみましょう。
トイレを気にして水分補給を減らす
外出先や仕事中などにトイレの回数を気にして、水分補給を控えてしまうと、気づかないうちに深刻な水分不足に陥る危険があります。
成人が1日に必要な水分量は、食事から摂取する分も含めて約2.5Lです。
少ない水分量で毎日を過ごしていると、慢性的な脱水につながる可能性があるそうです。
実際に、慢性熱中症と診断されたタレントの青木さやかさんも、日中の水分摂取量が350mlにも満たない日があったと告白しています。
食事を抜く
食事からは、1日に約1Lもの水分を摂取しています。
そのため、ダイエットや食欲不振で食事を抜くと、それだけで水分不足を招き、脱水のリスクを高めます。
1日に必要な水分量2.5Lの内訳は、食事から1L、飲み物から1.2L、そして体内で生成される水分が0.3Lです。
慢性的熱中症になると、倦怠感や吐き気で食欲がなくなりがちですが、それがさらなる脱水を進めてしまう悪循環に陥ります。
寝るときにエアコンをつけない
近年の日本の夏は夜間も気温が下がりにくく、寝ている間に大量の汗をかきます。
通常でもコップ1杯分(約200ml)の汗をかくといわれますが、猛暑の夜にエアコンをつけずに寝ると、それをはるかに上回る量の水分が失われてしまいます。
青木さやかさんも、就寝時にエアコンを3時間のタイマー設定にしていたそうですが、これが寝ている間の脱水につながる一因でした。
体に悪いと思い込まず、快適な室温を保つために、夜間もエアコンを適切に使用することが大切です。
まとめ
慢性的熱中症についてまとめました。
私たちの体は、体重のわずか2%の水分が失われるだけで熱中症のリスクが高まります。
これは、体重60kgの人であれば、500mlのペットボトル1.5本分弱(約720ml)に相当する量です。
専門家は「近年の猛暑は災害レベル」と捉え、十分な対策を呼びかけています。
青木さやかさんも、原因が分かって気持ちが楽になったと語っていました。
自分でも気づかないうちに進行する慢性的熱中症にならないよう、意識的な水分補給を心がけ、厳しい夏を乗り切りましょう。