2025年7月19日放送の「探検ファクトリー」で、全国の学校給食を支える“1食分ジャム”の元祖、タカ食品工業について紹介されました。
番組では、中川家とすっちーが福岡県みやま市にある工場を訪れ、子どもたちにおなじみの小さなジャムに隠された、情熱と工夫の数々を探ります。
小さなジャムが支える学校給食文化
多くの人が給食で一度は手にしたことがある小袋のジャムは、一つの企業の画期的な発明から始まり、今や学校給食の文化そのものを支える存在です。
その小さな袋には、子どもたちの笑顔を守るための技術と愛情が詰まっています。
給食の現場を変えた“1食分ジャム”のはじまり
給食のジャムの歴史を変えたのは、福岡県みやま市に本社を構えるタカ食品工業株式会社です。
この会社は1954年に、日本で初めて“1食分ジャム”の大量生産に成功しました。
それまでの給食現場では、大きな瓶入りジャムをスプーンで取り分けるのが主流でした。
しかし、この方法では量にばらつきが出やすく、衛生面でも課題があったのです。
タカ食品工業が開発した一人一人が清潔に使える小袋タイプのジャムは、これらの問題を一挙に解決し、全国の学校給食に大きな変化をもたらした画期的な製品でした。
子どもの目線に応える工夫の積み重ね
タカ食品工業のジャムづくりは、常に子どもたちの目線に立っています。
味はもちろんのこと、子どもたちの小さな手でも「開けやすいこと」、そして中身がこぼれにくい「使いやすさ」が徹底的に追求されています。
工場には子どもたちから「開けづらい」「中身が飛び出した」といった正直な声が届き、その一つ一つを真摯に受け止めて製品改良を続けているのです。
例えば、小袋の切り口には矢印マークを付けて分かりやすくし、力を入れなくても切れるように切れ目を浅く調整。
さらに、ジャムが飛び散らないよう注ぎ口の形状も工夫されています。
製造ラインの機械も自社で設計することで、こうした細やかな調整を日々行い、長年にわたって見えない努力と工夫を積み重ねています。
人気の味と使いやすさへの工夫
タカ食品工業のジャムが長く愛される理由は、そのおいしさと種類の豊富さにもあります。
定番の味から健康を意識したもの、さらには地域の特産品を活かした特別なジャムまで、多彩なラインナップが揃っています。
定番から高果実タイプまで広がるラインナップ
現在製造されているジャムは、イチゴ、ブルーベリー、マーマレード、リンゴといった、子どもたちに長年親しまれてきた定番の味が中心です。
これらに加え、食物繊維入りやカロリーを抑えたヘルシー志向のジャムも開発し、成長期の子どもの健康を考えた選択肢を広げています。
近年では、果実を贅沢に使用した高果実タイプの「ヴェルジェ」シリーズも人気です。
果物の風味や食感をしっかりと感じられる自然な味わいが特徴で、より本格的な味を求める声に応えています。
どのジャムも1袋15〜20gと、パン1枚にちょうど使い切れる量になっており、子どもでも無駄なく使えるサイズです。
地域とのつながりが生んだ“あまおうジャム”
タカ食品工業のもう一つのこだわりが、地産地消の取り組みです。
特に注目されるのが、地元・福岡の特産品である高級イチゴ「あまおう」を使ったジャムです。
このジャムは、地域との連携によって生まれた特別な商品で、あまおうならではの鮮やかな色と香り、贅沢な味わいが楽しめます。
地元の素材を使うことで、子どもたちが自分たちの住む地域に親しみを持ち、食育にもつながるという大切な役割を担っています。
子どもの目線に立った品質管理と改良
子どもたちが毎日安心して使える背景には、徹底した品質管理と、現場の声を製品に反映させる開発体制があります。
特に、使いやすさを追求するための技術力は、この工場の最大の強みです。
自社開発による技術で使いやすさを追求
タカ食品工業では、ジャムを袋に充填し包装する機械を自社で開発しています。
これにより、現場から届く改善要望にスピーディーに対応することが可能です。
前述のとおり、パッケージには力の弱い子どもでも開けやすいよう矢印マークを付け、切り口を調整しています。
また、凸型の注ぎ口を採用することで、中身が一気に飛び出さず、手や服を汚しにくい設計を実現しました。
パッケージの素材や厚みも、破れにくさと開けやすさの最適なバランスを見つけるために、何度もテストが繰り返されています。
現場の声を形にする開発体制
製品開発において、栄養士や学校現場の担当者の意見を積極的に取り入れている点も特徴です。
子どもたちの食の好み、現場での扱いやすさといった、実際に使う人たちの声が新製品や改良に活かされています。
「酸味をもう少し抑えてほしい」「パンに塗りやすい柔らかさがほしい」といった具体的な要望に応えてレシピを調整したり、「アレルギー表示をもっと見やすく」という声に対応してパッケージデザインを改善したりと、一つ一つの声が製品を育てています。
ジャムという小さな袋には、子どもたちの安全と笑顔を守るための、作り手の真摯な思いが詰まっているのです。
まとめ
「探検ファクトリー」で紹介されたタカ食品工業の“1食分ジャム”は、単なる給食の一品ではありません。
そこには、日本で初めて小袋ジャムを量産化したパイオニア精神と、50年以上にわたって子どもたちの声を聴き、改良を続けてきた真摯な姿勢があります。
開けやすいパッケージや、地元の特産品「あまおう」を使った特別なジャムなど、小さな袋の一つ一つに、子どもたちの笑顔のための工夫と愛情がぎっしりと詰まっています。